【横隔膜はがしで楽に呼吸!】若返る呼吸法を徹底解説

健康

呼吸と健康の深い関係

呼吸は、生命維持に不可欠な働きをしています。人は無意識のうちに呼吸を繰り返し、酸素を体内に取り入れ、二酸化炭素を排出することで、細胞に必要な栄養とエネルギーを供給しています。しかし、現代人の多くは日常生活の中で、正しい呼吸ができていないのが実情です。

デスクワークが増え、長時間同じ姿勢を取り続けることで、呼吸筋である横隔膜の可動域が狭くなり、十分な酸素供給ができなくなります。さらに、ストレスや緊張、無意識の癖なども呼吸を浅くしてしまう原因となっています。

浅い呼吸が続くと、身体に酸素が行き渡らず、「隠れ酸欠」状態に陥ります。酸欠は全身の細胞の老化を招き、免疫力の低下やホルモンバランスの乱れ、疲労の蓄積など、様々な健康被害を引き起こします。慢性的な酸欠状態が続けば、脳への酸素供給不足から集中力が低下し、記憶力の衰えも起こりかねません。

一方で、正しい呼吸法を実践することで、身体への酸素供給が改善され、老化の進行を遅らせることができます。横隔膜を意識的に使った深呼吸は、リフレッシュ効果もあり、ストレス解消やリラックス効果も期待できます。この記事では、横隔膜を使ったシンプルな呼吸法を紹介し、誰でも簡単に実践できる若返り方法を解説します。

適切な呼吸ができていないとどうなる?

酸欠状態で老化が加速

適切な呼吸ができていないと、身体は慢性的な酸欠状態に陥ります。酸素が十分に供給されないため、細胞の活動が円滑に行われず、活性酸素が増加して細胞が傷つきやすくなります。これにより、DNAの損傷が進み、老化が加速度的に進行してしまいます。特に脳細胞は酸素を多く必要とするため、酸欠が続くと記憶力や判断力の低下、集中力の欠如、ひいては認知症のリスクも高くなってしまいます。

全身で起こる老化現象は、肌のたるみやシミ、しわの増加などにも表れてきます。酸素が不足すると、コラーゲンやエラスチンなどの皮膚の構成成分が分解されやすくなり、ターンオーバー(肌の入れ替わり)が乱れて肌の弾力が失われていきます。特に顔の皮膚は薄いため、酸欠による老化の影響を受けやすくなります。また、酸素不足は免疫力の低下も招くため、アトピーや肌荒れ、ニキビなどの肌トラブルを引き起こす可能性も高くなります。

姿勢が悪化し筋肉が硬直

呼吸が浅くなると、自然と姿勢が前傾の猫背姿勢になりがちです。猫背姿勢では胸郭が圧迫され、横隔膜の可動域が制限されるため、さらに呼吸が浅くなる負の循環に陥ります。加えて、呼吸が十分に行われないと、筋肉に必要な酸素が供給されず、筋肉が硬直しやすくなってしまいます。筋肉が緊張し続けると、筋肉痛や可動域の低下が生じ、姿勢の歪みがさらに進行していきます。

猫背の状態が続くと、背骨や関節への負担も大きくなり、将来的には腰痛や変形性関節症のリスクも高まります。また、姿勢が悪いと内臓への圧迫も強くなり、消化器系や呼吸器系の機能にも影響を及ぼします。前かがみの姿勢では、横隔膜の動きも制限されるため、呼吸の浅さがさらに助長されてしまう恐れがあります。

首こり、肩こり、頭痛

浅い呼吸と悪い姿勢は、首や肩周りの筋肉の緊張を招きます。酸欠状態では筋肉がさらに硬直しやすくなるため、一時的な首こりや肩こりが慢性化し、頭痛を引き起こすケースも少なくありません。首や肩の筋肉が緊張すると、血液やリンパの流れが滞り、老廃物が溜まりやすくなります。その結果、疲労物質がたまって不調の原因となってしまいます。ストレスが重なると、筋肉の緊張はさらに高まり、症状が一層深刻化する可能性があります。

長時間同じ姿勢を取り続けると、血行不良の影響で頭痛や肩こり以外にも、手足のしびれやこわばり、めまい、立ちくらみなどの症状も出やすくなります。首や肩の筋肉が硬直すると、三叉神経への刺激が増え、頭痛に加えて顔面神経痛や眼精疲労などの目の症状も出る場合があります。このように、姿勢の歪みは全身に影響を及ぼす可能性があるのです。

内臓の下垂やたるみ

横隔膜の可動域が制限されると、横隔膜が適切に収縮できなくなり、腹圧がかからなくなってしまいます。腹圧は内臓を押し上げる役割があるため、腹圧が低下すると内臓が下垂しやすい状態になります。特に胃が下垂すると、食べ物の通り道が狭くなって消化不良が起こったり、胃酸が逆流して逆流性食道炎などの消化器系の不調に繋がったりします。中には、下垂した内臓が血管や神経を圧迫し、息切れや息苦しさを引き起こすケースもあり得ます。

また、呼吸が浅くなると、胸郭の動きが制限され、全身の筋肉が緊張しづらくなります。そのため、筋力の低下が避けられず、お腹周りのたるみや肌のたるみなど、体型を崩す要因になってしまいます。深い呼吸でしっかりと腹式呼吸を行うことは、体幹を鍛えるための有効な方法でもあり、引き締まった体型を維持するためにも重要なのです。

酸欠が引き起こす深刻な影響

適切な呼吸ができないことで引き起こされる酸欠状態は、様々な深刻な影響をもたらします。酸素が不足すると、細胞のエネルギー産生が阻害され、老化が促進されるだけでなく、免疫力の低下や疲労の蓄積、集中力の低下など、健康全般に悪影響を及ぼします。

細胞の老化が進む

酸素が不足すると、細胞の正常な代謝が阻害され、活性酸素が増加して細胞が損傷を受けやすくなります。活性酸素は細胞のDNAを傷つけ、DNAの損傷が蓄積することで細胞の老化が加速度的に進行してしまいます。酸欠状態が慢性化すれば、組織や臓器の機能低下を招き、様々な加齢性疾患のリスクが高まります。

脳細胞は他の細胞に比べてエネルギー需要が高く、酸素供給に大きく依存しているため、酸欠による影響を最も受けやすい臓器です。慢性的な酸欠状態が続くと、脳の神経細胞が損傷し、記憶力や思考力、判断力の低下を引き起こします。長期的には、認知症の発症リスクも高まってしまいます。

免疫力が低下する

酸素は免疫細胞の活動にも不可欠です。酸欠状態が続くと、免疫細胞の機能が低下し、ウイルスや細菌、がん細胞から体を守る能力が弱まってしまいます。そのため、風邪をひきやすくなったり、がんの発症リスクが高まったりする可能性があります。また、免疫力の低下は、アトピーや湿疹、過敏性大腸症候群など、自己免疫疾患の原因にもなり得ます。

疲労しやすくなる

細胞が酸素を十分に取り込めないと、エネルギー産生が阻害されるため、身体的にも精神的にも疲れやすくなります。慢性的な酸欠は、睡眠の質の低下や生理的なリズムの乱れも招き、疲労がさらに蓄積しやすい状態になります。酸素不足による筋肉の硬直も、筋肉の疲労を助長する要因になります。このように、様々な要因が複合的に関係し、酸欠状態が続くと容易に疲労感に見舞われるようになるのです。

集中力が低下する

脳は非常にエネルギー消費量の多い臓器で、酸素供給に大きく依存しています。酸欠状態が続くと、脳への酸素供給が阻害され、脳の活動が低下してしまいます。その結果、集中力の低下や判断力の鈍り、記憶力の衰えなどの症状が現れます。学習能力や作業効率の低下にもつながるため、仕事やスポーツ、勉強など、パフォーマンスが求められる場面で影響が出やすくなります。

このように、酸欠状態は全身の細胞に影響を及ぼし、老化の促進、免疫力の低下、疲労の蓄積、集中力の低下など、健康被害をもたらします。適切な呼吸を心がけ、酸欠状態を改善することが、若返りと健康維持につながるのです。

正しい呼吸には横隔膜が重要

横隔膜とは

横隔膜は、胸腔と腹腔を仕切る、ドーム型の薄い筋肉です。上部は肺に接し、下部は肝臓や胃、腸に接しています。横隔膜の中心部分は腱板となっており、周りの筋肉がこの腱板を牽引することで、ドーム型の形状が変化します。横隔膜は呼吸運動のメインエンジンとして大きな役割を果たしています。

横隔膜の筋肉は、第3から第12肋間神経の支配を受けています。主要な機能は呼吸運動ですが、くしゃみや咳払い、嘔吐、排便などの補助的な働きもあります。また、腹圧を高める作用により、胸腹部の内臓を支えたり、側腹筋と共同して体幹を動かす役割も担っています。このように、横隔膜は様々な機能を持つ重要な筋肉なのです。

呼吸時の働き

呼吸時には、横隔膜が主役となって働きます。吸気時には、横隔膜が扁平に収縮し、腹腔内の空間を広げることで、胸腔内の圧力を下げます。すると、外気が肺に流れ込んで肺を膨らませます。一方、呼気時には横隔膜が弛緩し、前ドーム状に戻ることで、腹腔内の空間が狭くなります。圧力の関係で肺から空気が押し出され、呼気が行われるのです。

このように横隔膜は、吸気時と呼気時で形状を変化させながら、胸腔と腹腔の体積を変えることで、肺の膨張と収縮を助けています。横隔膜が十分に動けば、深く大きな呼吸ができるので、体内への十分な酸素供給が可能になります。健康的な呼吸には、横隔膜の機能が欠かせません。

横隔膜が硬直すると適切な呼吸ができない

しかし、現代人の多くは無意識のうちに姿勢が悪くなり、横隔膜の可動域が狭くなってしまっています。デスクワークが多い人は、長時間同じ姿勢を取り続けがちで、横隔膜が押し上げられた状態が続きます。横隔膜が十分に伸びきれない状態が続くと、徐々に硬直が進行し、最悪の場合は横隔膜の癒着を引き起こします。

横隔膜が硬直すると、横隔膜の動きが制限され、適切な呼吸ができなくなってしまいます。深呼吸が困難になり、呼吸は浅くなります。浅い呼吸では酸素の取り込み量が少なく、全身への酸素供給が不足するため、酸欠状態に陥ります。さまざまな健康被害の原因となる酸欠を解消するには、横隔膜を柔らかくしてその動きを良くすることが重要なのです。

正しく深い呼吸をするには、横隔膜の可動域を広げる必要があります。そのためには、横隔膜のはがしやストレッチを行って、硬直した横隔膜をリセットする必要があります。横隔膜の柔軟性が保たれていれば、十分な酸素を体内に取り込み、全身の細胞に行き渡らせることができるのです。

【動画内容】横隔膜はがしでリセット

準備運動

横隔膜のはがしを行う前に、簡単な準備運動をしましょう。

みぞおちをつまむ

まず、みぞおちの部分を3本の指でつまみます。肋骨の間の割れ目のある部分を、お腹の肉をつまむようにして、軽く摘まみます。この動作で横隔膜の位置を確認できます。

体を丸めてのけぞる

つまんだ状態から、腰を丸めた体勢に移ります。そのまま腰を反らして上体を伸ばし、上を向くようなイメージでのけぞります。このストレッチで、つまんだ箇所の横隔膜が伸ばされる感覚があるはずです。この動作を30秒ほど行いましょう。これが横隔膜のはがしの準備運動になります。

第1ステップ

準備運動の後は、本格的に横隔膜のはがしを行います。まずは肋骨サイドから始めましょう。

肋骨サイドを擦る

右側の肋骨のみぞおち付近から、横に指を這わせて肋骨のサイドの部分を探ります。そこを押さえながら、腕を上に伸ばしつつ、その部分をなでるように擦ります。擦る際は強く擦らずに、軽くこするような感じがよいでしょう。

呼吸に合わせて動かす

擦る動作に合わせて、呼吸も意識しましょう。息を大きく吸いながら、擦る動作と腕を上に伸ばす動作を行います。吸う度に肋骨が動くので、その際に擦られる部分が突っ張るような感覚があります。30秒間、右側、左側と交互にこの動作を続けます。呼吸に合わせて動かすことで、横隔膜周辺の癒着をほぐしていきます。

第2ステップ

次に、肋骨の内側に指を入れて、横隔膜のはがしを行います。

肋骨内側に指を入れる

両手の指をみぞおちから肋骨の内側に入れていきます。指を肋骨にあてがいながら、ゆっくりと押し込むように入れていきます。力を入れすぎると痛くなるので、優しく押し込む感じで行いましょう。一気に指を入れるのではなく、呼吸に合わせてゆっくりと押し込むようにします。

リラックスして優しく

この作業は無理なく、リラックスした状態で行うことが大切です。姿勢を硬くしたり、力を入れ過ぎると指が入りにくくなります。お腹を力みにならず、リラックスした状態を保ちながら、呼吸に合わせて指を肋骨の内側に少しずつ入れていきます。優しく、押し込む感じで、1分程度かけて作業を行います。指で肋骨をしっかりと押さえながら、横隔膜のはがしを意識します。

このように準備運動から2ステップの動作を丁寧に行うことで、硬直した横隔膜がほぐれ、呼吸が楽になっていくはずです。続けて実践することで、酸欠状態からの解放と、呼吸の改善が期待できます。

横隔膜はがしで実感できる変化

呼吸が楽になる

横隔膜のはがしを行うと、まず呼吸がスムーズになることを実感できます。硬直していた横隔膜がほぐれることで、呼吸の抵抗がなくなり、大きく深い呼吸ができるようになります。これまで無意識に行っていた浅い呼吸から一気に解放されるのです。

呼吸が深くなると、一回の吸気で多くの酸素を取り込めるようになります。全身の細胞への酸素供給が十分に行われるようになり、酸欠状態が解消されていきます。酸欠が解消されれば、肩こりや頭痛、疲労感といった酸欠によって引き起こされる不調の改善も期待できます。

さらに、深呼吸を続けることで、肺活量が増加し、老廃物の排出が促進されます。呼吸を通して血液からの老廃物を排出できるため、新鮮な血液が行き渡り、身体がリフレッシュされていく実感があります。十分な酸素供給によるリフレッシュ効果は、疲労の蓄積を防ぐだけでなく、若返りの実感にもつながってくるのです。

座り姿勢が改善される

横隔膜を柔らかくすることで、姿勢の改善も期待できます。呼吸が深くなり、横隔膜が適度に収縮できるようになると、自然と姿勢が正されていきます。猫背気味だった前屈みの姿勢が、背筋がピンと伸びた姿勢に自然と変化していきます。

呼吸が浅いと、いつの間にか姿勢が前かがみになり、さらに呼吸が浅くなるという悪循環に陥っていました。しかし、横隔膜のはがしで呼吸が改善されれば、この悪循環から抜け出せるのです。前かがみが解消されるだけでなく、背骨や骨盤の歪みも正される効果も期待できます。

正しい姿勢を保てるようになれば、筋肉の緊張や血行、内臓の位置まで改善されます。首こり、肩こり、内臓下垂などの不調の改善にもつながり、代謝の活性化や基礎体温の上昇、自律神経の調整なども期待できるでしょう。適切な呼吸から生まれる良好な姿勢は、健康的な身体づくりにもつながるのです。

若返りの実感

横隔膜のはがしを続けていくと、呼吸の改善と姿勢の改善に加えて、見た目の変化も実感できるようになります。横隔膜が柔らかくなり、適切な呼吸が行えるようになると、全身の筋肉が柔らかくなり、リンパの流れも良くなります。そうすると、肌のたるみやむくみが解消されて、顔や体がスッキリとしてくるのです。

適切な酸素供給によって、メラニン色素の減少など、シミやくすみ、くまの改善効果も期待できます。さらに、筋肉が柔らかくなることで、目元や口元のしわがスッキリすることも。横隔膜のはがしを続けると、見た目の若々しさが取り戻せるだけでなく、活力も湧いてくる実感があるはずです。

加えて、呼吸が深くなることで、自律神経の調整作用や新陳代謝の活性化、ホルモンバランスの調整などの効果も期待できます。内面からの若返りと外見からの若返りの相乗効果で、本当の意味での健やかな若返りを実感できるのです。呼吸を整えることは、健康的な生活習慣の第一歩なのかもしれません。

最後に

呼吸は生命維持に不可欠な働きがあり、健康維持のためには適切な呼吸を心がけることが重要です。浅い呼吸や酸欠状態が続くと、老化の促進、免疫力の低下、疲労の蓄積、集中力の低下など、様々な健康被害を引き起こします。適切な呼吸を行うためには、横隔膜の機能が鍵となります。

しかし、現代人の多くは無意識のうちに姿勢が悪くなり、横隔膜の可動域が狭くなってしまいます。横隔膜が硬直すると、深呼吸ができなくなり、酸欠状態に陥ってしまうのです。横隔膜のはがしを行うことで、硬直した横隔膜をリセットし、呼吸を改善することができます。

横隔膜のはがしを定期的に続けることで、呼吸が楽になり、酸欠状態から解放されます。さらに姿勢の改善、筋肉の柔軟性の向上、血液・リンパの流れの改善など、様々な効果が期待できます。そして何より、適切な呼吸と十分な酸素供給により、老化の予防や若返りの実感につながるのです。

健康的な生活習慣の第一歩として、横隔膜のはがしで呼吸を整えることから始めましょう。適切な呼吸を取り戻し、若返りと健康増進を目指していきましょう。

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