導入眠れない夜を過ごすと、翌日は体調不良や集中力の低下など、様々な影響を受けてしまいます。睡眠不足が続けば、健康を損ないかねません。しかし、不眠に悩まされている方も多くいらっしゃいます。
睡眠はストレス解消や体の回復に欠かせない大切なものです。快適な睡眠が取れずにお困りの方に、この記事では市販の睡眠導入剤のおすすめと、上手な使い方をご紹介します。一時的な不眠症状の緩和を目的とした睡眠導入剤を活用し、良質な睡眠を取り戻しましょう。
睡眠導入剤の選び方や注意点、生活習慣の改善方法など、睡眠対策に役立つ情報が満載です。眠れずに苦しむ方は、ぜひ参考にしてみてください。
睡眠導入剤とは?
睡眠導入剤とは、その名の通り、睡眠の導入を助ける薬剤のことを指します。不眠症や一時的な睡眠障害による睡眠の質の低下を改善するために使用されます。
睡眠導入剤には、病院で処方される製剤と市販されている製品の2種類があります。それぞれの特徴は以下の通りです。
病院処方の睡眠導入剤
病院で処方される睡眠導入剤は、主に以下の2つの特徴があります。
慢性的な不眠症や長期にわたる睡眠障害に対応できる薬剤である
一時的な不眠症状だけでなく、慢性化した不眠や長期的な睡眠障害にも効果的に作用します。根本的な睡眠障害の改善を目指せる強力な薬理作用を持っています。
化学的な作用によって直接的に睡眠を促進する効果がある
市販の睡眠改善薬とは異なり、睡眠を誘発する化学物質が直接的に睡眠を促進させます。眠気の副作用を利用するのではなく、本来の目的どおりに睡眠導入を助ける働きがあります。
つまり、病院処方の睡眠導入剤は重度の不眠症状にも対処可能な強力な薬理効果を持っています。医師の適切な判断と指示の下で使用することが重要です。症状に合わせて最適な種類と用量が処方されるためです。
市販の睡眠改善薬
一方、市販されている睡眠改善薬には以下のような特徴があります。
一時的な不眠症状の緩和を目的とする
市販の睡眠改善薬は、慢性的な不眠症状ではなく、一時的な眠れない状態を改善することを目的としています。症状が一過性であれば、市販薬で対処できる可能性があります。
眠気をもたらす副作用を利用している
多くの市販睡眠改善薬は、他の目的で使用される薬剤の副作用である「眠気」を利用したものです。例えば、花粉症薬に含まれる抗ヒスタミン成分の眠気作用を応用しているのです。直接睡眠を誘発するのではなく、副次的な効果を活用しているわけです。
このように、市販の睡眠改善薬は一時的な不眠への対処を目的としており、比較的穏やかな作用で眠気をもたらします。症状が長期化している場合は病院で処方される睡眠導入剤を検討する必要があります。
おすすめの市販睡眠改善薬
市販されている睡眠改善薬には様々な種類がありますが、特におすすめの製品をいくつかご紹介します。一時的な不眠症状の緩和を目的としている方は、これらの睡眠改善薬を試してみるのも一案でしょう。
ドリエル
成分:ジフェンヒドラミン塩酸塩
ドリエルに配合されている主な有効成分は、ジフェンヒドラミン塩酸塩です。この成分は本来、アレルギー症状を緩和する目的で使用されてきました。
アレルギー症状改善薬の副作用(眠気)を利用
しかし、ジフェンヒドラミン塩酸塩には「眠気」がよく知られた副作用としてあります。ドリエルではこの眠気作用を積極的に活用することで、一時的な不眠症状の改善を目指しています。アレルギー症状改善薬の意図しない効果を、睡眠改善剤として生かしているわけです。
ドリエルは眠りが浅かったり、なかなか眠れない場合に服用すると、穏やかに眠気を誘発し、睡眠の質の向上が期待できる市販薬です。
ネオディ
成分:ジフェンヒドラミン塩酸塩
ネオディにも、ドリエルと同じジフェンヒドラミン塩酸塩が配合されています。この抗ヒスタミン成分の眠気作用を利用した一般用医薬品です。
一時的な不眠症状の緩和に効果的
ネオディは、寝付きが悪かったり睡眠が浅すぎる場合などの一時的な不眠症状を改善することを目的としています。ジフェンヒドラミン塩酸塩の穏やかな眠気誘発作用により、上質な睡眠を得られるよう導いてくれます。
慢性的な不眠症状に対しては効果が期待できませんが、短期的な睡眠障害への対処として、ネオディはおすすめの市販睡眠改善薬の一つです。
ナイトミン
漢方薬
ナイトミンは漢方薬に分類される睡眠改善薬です。生薬の配合により、体の不調をトータルにケアする作用が期待できます。
ストレスなどで疲れた心身をリフレッシュ
ナイトミンは、仕事や家事、育児など様々なストレスで心身ともに疲れ果ててしまい、なかなか休まれない方におすすめです。5種類の生薬から成る「三黄瀉心湯」が、ストレスから来る疲労を緩和し、リフレッシュした状態へと導いてくれます。
ナイトミンには漢方特有の香りがありますが、錠剤タイプのため飲みにくさは最小限に抑えられています。疲労回復と良質な睡眠の改善を、自然な作用で両立できる点が特徴的です。
睡眠改善薬の注意点
アレルギー薬などと成分が重複する場合は注意
市販の睡眠改善薬には、アレルギー症状改善薬などと同じ成分が含まれているものがあります。代表的なのが「ジフェンヒドラミン塩酸塩」で、ドリエルやネオディなどに配合されています。この成分は本来、花粉症やくしゃみ、皮膚の掻痒感などのアレルギー反応を抑える目的で使われてきました。しかし、眠気を起こす副作用があるため、睡眠改善薬としても活用されているのです。
すでにアレルギー薬や風邪薬を服用中の場合、睡眠改善薬を追加で服用すると成分が重複してしまう可能性があります。同じ成分が過剰に体内に入ると、強い眠気や錯乱状態になるなど、重大な副作用が起こるリスクがあります。睡眠改善薬を使う際は、必ず他の薬の服用状況を確認し、成分の重複がないか注意が必要です。
長期間の使用は避ける(2~3日程度)
市販の睡眠改善薬は一時的な不眠症状を緩和するために設計されており、根本的な不眠症の治療を目的としたものではありません。製品の添付文書にも「長期連用しないでください」と記載があるように、長期に渡る継続服用は避けるべきです。
一般的な目安として、睡眠改善薬の服用期間は長くとも2~3日程度に留めることが推奨されています。それ以上長期間服用すると、次第に効果が薄れてきたり、逆に不眠が悪化したりする可能性があるからです。2週間以上にわたり不眠症状が続く場合は、医師に相談し適切な治療を受けることが賢明でしょう。
アルコールとの併用は避ける
睡眠改善薬とアルコールを一緒に摂取すると、相互に作用を強めあう恐れがあります。アルコールにも中枢神経系を抑制する作用があるため、睡眠改善薬との併用で過剰な鎮静が起こり、強い眠気やよそ見、転倒などのリスクが高まります。逆に、一部の人では興奮作用が増強されて、かえって不眠が悪化する可能性もあります。
製品によっては「併用注意」と明記されていたり、添付文書に「飲酒に注意」と書かれているものもあります。睡眠改善薬を服用する際は、医師や薬剤師に確認するなどして、必ずアルコールを控えるようにしましょう。軽い気持ちで一緒に摂取すると、重大な健康被害につながるかもしれません。
このように、市販の睡眠改善薬にも一定のリスクと注意点があります。安全に活用するためには、これらの点を理解し守る必要があります。適切な用法・用量を守ることで、より快適で質の高い睡眠を得られるはずです。
生活習慣の改善も大切
睡眠改善薬は一時的な不眠症状の緩和に役立ちますが、根本的な解決には生活習慣の見直しが重要です。不眠の原因となる生活リズムの乱れや体の不調を改善することで、自然と良質な睡眠が得られるようになります。
カフェインの摂取を控える
コーヒーや紅茶、コーラなどに含まれるカフェインは覚醒作用があり、夜間の睡眠を妨げてしまう可能性があります。個人差はありますが、一般的にカフェインの半減期は5時間以上と言われています。つまり、就寝の5時間前からカフェイン摂取を控えるのがよいでしょう。夕食後は可能な限りカフェイン入りの飲み物を避けましょう。
日光浴をする(メラトニンの生成を助ける)
体内で作られるメラトニンというホルモンは、日중の明るい光を浴びることで分泌が促されます。夜間に分泌が高まると眠気が誘発され、睡眠のリズムが整えられるのです。日中の日光浴は、自然な睡眠サイクルを整える効果があります。特に朝日を浴びることをおすすめします。
適度な運動をする
軽い運動を心がけることで、体を適度に疲労させリラックス状態を生み出すことができます。ストレッチやヨガ、ウォーキングなどの軽い運動から始めるのがよいでしょう。過度の運動は睡眠を妨げる可能性もあるため、無理のない程度に留めましょう。
適温での入浴を心がける
夜、就寝前の入浴は睡眠のスイッチとなります。人体は温まった後に体温が下がる過程で自然と眠気が訪れるためです。ただし、過剰に熱いお湯は体を興奮させ逆効果なので、適温(40度前後)を心がけましょう。湯船に20分ほど浸かり、ゆっくりとリラックスするのがおすすめです。
就寝前のブルーライト(スマホ・PCの光)を避ける
スマートフォンやパソコンの液晶画面から発せられるブルーライトは、睡眠を妨げる要因のひとつです。ブルーライトはメラトニンの分泌を抑制してしまうため、就寝前の2、3時間はスマホやPC、テレビなどのブルーライト発光源から離れましょう。代わりに本を読むなど、リラックスできる活動に切り替えるのがよいでしょう。
このように、日々の生活習慣を改善することで、自然と良質な睡眠が得られるようになります。睡眠薬に頼る前に、まずは生活リズムの見直しから始めてみることをおすすめします。
最後に
睡眠は健康的な生活を送る上で欠かせない大切な要素です。十分な睡眠が取れないと、翌日の生活に支障をきたしたり、長期的には様々な健康被害を招く恐れがあります。不眠に悩む方は、適切な対処が必要不可欠です。
一時的な不眠症状の改善には、市販の睡眠改善薬が役立つでしょう。本記事でご紹介したドリエル、ネオディ、ナイトミンなどは、穏やかに眠気を誘発し、上質な睡眠への導きとなります。ただし、添付文書の注意事項を確認し、飲み合わせや期間にも気を付けましょう。
一方で、根本的な不眠症の解決には生活習慣の改善が不可欠です。カフェイン摂取の控え目、適度な運動、適温での入浴、就寝前のブルーライト回避など、生活リズムを整えることが重要なのです。合わせて日光浴で自然なメラトニンの分泌を促すことも有効です。
睡眠改善には生活習慣の改善と薬の活用、この2つを上手にバランスさせていくことがポイントです。症状に応じて臨機応変に対応し、質の高い睡眠を取り戻しましょう。睡眠は健康維持に欠かせないものですから、前向きに対策を立ててみてはいかがでしょうか。
