運動中のふともものかゆみの原因は?
運動中にふとももが痒くなったり、しびれるのは誰にでもある経験です。特にウォーキングやランニングなどの有酸素運動時に起こりやすい現象です。このかゆみやしびれの原因と対処法について解説します。
毛細血管の血流が原因
ふとももが痒くなったり、しびれる最大の原因は、運動時の血流の変化にあります。私たちの体には細かな血管である毛細血管が全身に張り巡らされています。毛細血管は通常ではあまり血液が流れておらず、休眠状態にあるのですが、運動を始めると筋肉への血流が増えるため、これまで休眠していた毛細血管にも血液が一気に流れ込みます。
この急激な血流の変化が、毛細血管周辺の神経を刺激するのです。普段から運動不足の方は、毛細血管が休眠状態にあるため、運動を始めるとたちまち神経が過剰に刺激されてしまいます。その結果、ふともももぎりぎりする痺れや、かゆみを感じるようになるのです。
神経が刺激されるメカニズム
ふとももの痺れやかゆみは、毛細血管周辺の神経終末が刺激されることで起こります。運動不足の方が急に運動を始めると、休眠状態の毛細血管に一気に血液が流れ込み、毛細血管が膨張します。この膨張した毛細血管が神経終末を物理的に圧迫し、神経が過剰に刺激されてしまうのです。
刺激を受けた神経終末から、「痺れている」「かゆい」といった異常な感覚の信号が脳に送られます。脳はこの信号を解釈して、ふともものしびれやかゆみを体感するように指示を出すのです。このメカニズムが、運動中のふとももの痺れやかゆみを引き起こす理由なのです。
運動に慣れていない方ほど、毛細血管の血流変化による神経刺激が大きくなります。そのため、運動不足の方がウォーキングなどの有酸素運動を始めると、ふともものしびれやかゆみが生じやすくなるのです。逆に運動に慣れている方は、毛細血管がすでに活性化されているため、このような症状が出にくくなります。
ふともものかゆみを防ぐ対策
準備運動で血行を良くする
ふとももが痒くなるのを防ぐ最も簡単な対策は、しっかりと準備運動を行うことです。準備運動をすることで、運動前から血行を良くしておけば、本番の運動時に血液が一気に流れ込むことを防げます。
具体的には、ストレッチや軽いジョギングなどで全身の血流を高めておきましょう。特にふともものストレッチは欠かせません。ふともものインナーとアウターの筋肉をしっかりとほぐし、筋肉への血流を促進させることが大切です。
準備運動時から、ゆっくりではあるがしっかりと動きを入れることで、休眠状態の毛細血管も少しずつ活性化されます。そうすれば本番の運動で血液が一気に流れ込んでも、神経が過剰に刺激されるリスクが下がるのです。
筋トレで筋力アップ
継続的にかゆみを防ぐためには、筋力アップが重要になります。筋トレによって筋肉を鍛えれば、運動時の血流の変化が緩やかになり、神経への刺激も和らぎます。
特にふともものインナーとアウターの筋肉を鍛えることをおすすめします。ふとももの筋力が落ちていると、有酸素運動時の負担が大きくなり、かゆみの原因となる急激な血流変化が起こりやすくなるのです。
ウォーキングの前にスクワットやランジ、ヒップリフトなどのふともものトレーニングを取り入れると良いでしょう。徐々に負荷を上げていけば、血流コントロールがしやすい柔らかい筋肉を手に入れられます。
適切な運動強度を守る
有酸素運動の強度を調整することも、ふともものかゆみ対策に有効です。運動が過度に激しいと、血液が一気に流れ込んで神経が圧迫されてしまいます。特に運動不足の方は注意が必要です。
ウォーキングであれば、「ゆっくり歩く」よりも「普通に歩く」ペースの方が適切な強度になります。ランニングの場合も、全力疾走するのではなく、ゆっくり走ることをおすすめします。自分に合った有酸素運動の強度を守れば、過度な神経刺激を避けられます。
運動に慣れてくれば、徐々に強度を上げていくことができます。しかし無理のない範囲で行うことが肝心です。急に強度を上げすぎると、またふともものかゆみや痺れが起こる可能性があります。コントロールしながら少しずつペースアップしていきましょう。
運動中にふとももが痒くなったら
軽くマッサージする
運動中にふとももが痒くなってしまった場合は、まず軽くマッサージすることをおすすめします。ふとももの内側から外側に向かって、やさしく指先で筋肉をもむようにマッサージしましょう。
このマッサージにより、一時的に圧迫されていた神経への刺激が和らぎます。さらに周辺の血行も促進され、うっ血した血液の流れを良くすることができます。痺れやかゆみが徐々に和らいでくるはずです。
マッサージの際は、あまり強く押し付けすぎないよう注意が必要です。神経をさらに刺激してしまうと、かえって痺れやかゆみが増す可能性があります。優しく流すようなタッチで行いましょう。
軽いマッサージを数分間行ったものの、なかなか症状が改善されない場合は、一旦運動を止めて休憩を取るのが賢明です。
一時的に運動を控える
ふとももの痺れやかゆみが激しく、軽いマッサージでも改善が見られない場合は、一時的に運動を控えましょう。そのまま無理に運動を続けると、症状がさらに悪化する可能性があります。
一旦歩行を止め、そのまましばらく静止して様子を見ます。数分経っても症状の改善が見られなければ、その日の運動はそこで終了するのが賢明でしょう。
無理に運動を続けて筋肉を痛めたり、神経への負担が蓄積されてしまっては本末転倒です。一時的に運動を控え、身体を休める時間を作ることが大切です。
運動後は十分な休養を取り、翌日以降に同じようなことが起きないよう対策を立てましょう。準備運動の改善や、軽めの筋トレの導入、運動強度の調整など、様々な対処法があります。
症状が改善されたら、徐々に運動を再開できますが、再発を防ぐため、無理のない範囲で少しずつ強度を上げていくようにしましょう。運動中のふともものかゆみは、上手く対処すれば予防できる症状なのです。
最後に
運動中のふともものかゆみは、血行不足による一時的な神経の過剰刺激が原因です。普段から運動不足がちだと、毛細血管が休眠状態になっているため、運動を始めた際に一気に血液が流れ込み、神経が刺激されてしまうのです。
このかゆみを予防するには、準備運動でしっかりと全身の血行を良くしておくことが重要です。さらに継続的な筋トレで筋力をアップさせ、有酸素運動時の血流変化を緩やかにすることも大切な対策です。
また、自分に合った適切な運動強度を守ることで、急激な血流変化を防げます。運動に慣れてくれば徐々に強度を上げていけますが、無理はNG。常に自分の体力に合わせた強度設定が肝心です。
運動中にふとももがかゆくなってしまった場合も、軽くマッサージをするなどして対処できます。しかし症状が改善されない時は無理せず、一時的に運動を控えましょう。
このように適切な予防策と対処法を行えば、健康的で気持ちの良い運動が続けられます。ウォーキングなどの有酸素運動をストレスなく、楽しく実践できるはずです。